補習校に通う意義

なぜ補習校に通うのか?

この問いかけに対する答は、それぞれのご家庭の教育に対する考え方、あるいは、それぞれの生徒・児童の学業や生活に対する考え方によって、違うものとなるかも知れません。ただ、一つはっきりしているのは、毎週土曜日に補習校に通学する生徒・児童の心と日本という国との間に、強い結びつきが生まれる、という事では無いでしょうか。

米国、特に人種の坩堝と言われているニューヨーク地域で生活していると、教育の課程、あるいは社会に出てからも、自らのルーツがどこにあるのか、それを問われる様々な局面に遭遇します。また、そういった場面で、自らのアイデンティティーを明確に位置づけ、また自信をもって他者に伝えることが出来るか否か、という事は、自身の生き方そのものを大きく左右する要因になるでしょう。

また、近年の世界経済のグローバル化あるいは通信技術の発達で、地球は小さくなり、国と国との距離は急速に縮まりつつあります。同時に日本、あるいはそこで生活する人々も、「世界の中のニッポン」という視点で考え、動かなければならない局面が増えてくるでしょう。

そういった時代に、「真のグローバルな人材」が求められています。ここで定義される人材とは、単に他国語に堪能な人、という意味ではなく、自国の言語や文化、習慣を充分に理解し、なお他国の言語、文化を理解・尊重しながら、バランス感覚に優れた言動を取るだけの能力を保持する人という意味です。また、その為には、最低でも小・中学校レベルの、読み書きを含めた、日本語能力を備え持つ事が必須です。

ニューヨーク補習校は、「日本語を勉強する場所」ではなく、「日本語で勉強する場所」です。日本語を使って、日本に居住する生徒・児童と同様のカリキュラムをこなしていく、日本語で文化・習慣を理解する、日本語で考える。 週に一度の短い時間ではありますが、それらを繰り返すことによって、将来、補習校の卒業生が活躍する場所に関わらず、これからの国際的な時代に通用する、「真のグローバルな人材」育成の一端を担うような教育を目指したいと考えています。

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